ボローニャブックフェア最優秀図書賞受賞
世界じゅうのあまりにも多くの場所で、子どもたちは自らはまったく責任のない戦争のために、その人生をだいなしにされ、つらい日々を送っている。
死と恐怖と破壊の中で、子どもは、生きるために必死で生きる。
多くの子どもは、暴力と憎悪によって深い傷を負いながらも、将来への夢にすがりつく。子どもたちの夢は、悲しいほどにシンプルだ。安心して通りで遊び、殺される不安から解放されて学校に通い、おなかがすいたら食事をとり、家庭があり、家族がそばにいてくれる日が再び訪れる、という夢である。
マリア・オーセイミは、戦争によってもっとも疲弊した4つの国、レバノン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モザンビーク、エルサルバドルへわたり、砲火の中で暮らす子どもたちにインタビューをした。現実を容赦なくとらえた写真と、直接子どもたちからきいた忘れがたい彼らの体験を通して、オーセイミは、戦争がいかに子どもたちの肉体と精神を破壊するかを生々しく描きだした。
しかし、なによりも衝撃的なのは……。彼女がいままでに取材した数多くの戦争の中で最悪なのが、アメリカの首都で行われている「宣戦布告なしの戦争」だという点にあるだろう。ワシントンDCをはじめとしてアメリカじゅうの路上で日々くりかえされているこの戦争は、若い命をずたずたにし、「戦争の悪夢」がわたしたちの間近にせまっていることを教えてくれる。本書は、たとえそれが悪夢のようであっても、なんとか生き延びて、もう1度世界と向き合おうとする子どもたちの人生を垣間みせてくれる。――(原書のカバーより)
ボローニャ国際児童図書展最優秀図書賞/産経児童出版文化賞大賞
+ もっとみる