突然消えたひとりの男をめぐって4人の女心は微妙に揺れ絡み合いやがて溶け合う
槙枝/今日子/佐保子/由里子
魚住さんはどこに行ったのか。行方を探して、今日子の指は体の奥深く沈んでいくが、彼はもう、そこにはいなかった。男は誰もいなかった。魚住夫馬という男が、かつてこの肌色の渦の真中にいたことすら、いまとなっては嘘のように思える。いたかもしれない。いなかったかもしれない。ともかく今はいない。しかし渦はこのように激しく回っている。肌色の渦の中を、銀白色のいのちがきらめいて流れていく。──本文より
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