ポール・オースター原作
手に汗握るこの戦慄
傑作を読む。コミックで読む。凄い!目からウロコのおもしろさ。
ミステリーの新しい形が、この、ポール・オースター作『シティ・オブ・グラス』のコミック版で始まりを告げる。ネオン・リット:ノアール・イラストレイティッド(邦題:グラフィック・フィクション)、と命名されたこのシリーズでは、モダニズム、そして、ポスト・モダニズムのミステリーの名作の数々が、世界でもトップクラスのイラストレーターと作家の手によって、コミックに生まれ変わってゆく。
作品とアーティストを選択するのは、サンフランシスコで活躍する作家で編集者、『だれがJFKを撃ったのか』を書いたボブ・キャラハンと『マウス』でピューリッツア賞を獲得したアート・スピーゲルマン。キャラハンが原作からコミックへの編集を担当し、全体の基本的なデザインはスピーゲルマンが受け持っている。
このシリーズの作品に見られる言葉と形式は、その歴史をたどると、1920年代のすぐれたハードボイルドの小説に、そして、白と黒の鋭いイメージは、ひと世代あとのノワール・フィルムにたどりつく。それら2つの伝統を取り入れ、現代の味付けをしたのが、この、知的で粋な新しいフィクション・コミック・シリーズである。
第1巻に続いて、目下、デビッド・リンチ監督で映画化もされた『ワイルド・アット・ハート』に続くバリー・ギフォードの作品、『ペルディタ・デュランゴ』、ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの名作カーニバル小説『悪夢の裏道』を準備中である。『ペルディタ・デュランゴ』担当は、キャラハンとスコット・ギリス、『悪夢の裏道』には小説家トム・デハヴェンとマーク・ズィンガレリが取り組んでいる。――ボブ・キャラハン
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