いま、国民最大の敵は国家である。
グローバル・エコノミーのなかで栄えるのは、開かれた地域国家だ。国の規制も助成金も、もう要らない。富は主権国家ではなく、国境を超えたネットワークがもたらす。大前研一が動乱の時代におくる、新世界秩序像。
国家は経済的な影響ではなく、政治的な影響を第1に考えて経済的な選択をせざるをえない。選挙では勝たなければならず、国民の歓心を買わなければならない。だから、長い目で見れば国民全体を潤す政策を犠牲にして、すぐに効果のわかるばらまき政策に力を入れる……。しかし補助金も保護も、自力で立ち直ろうとする意欲をくじき、依存心を強めてしまうだけだ。これは大変なカネの無駄遣いという話だけではすまない。雇用が失われ、将来の経済成長が阻害されるという形で高いツケがまわってきたとき、それを支払うのは生活者である国民なのだ。――本文より
+ もっとみる