心やさしきゆえに、純粋ゆえに心悩んで生きる人への心の処方箋。 今日も多くの患者たちが私の外来を訪れた。1人の若い、美人の患者が母親と一緒にやってきた。2週間後には結婚して東北に行くそうである。新婚旅行はウィーンだそうだ。ご主人になる人も病気には理解があり、真面目なやさしい好青年である。2人がつき合いはじめた頃、症状を聞きに私の外来を訪れ、仙台の銘菓を土産に持ってきてくれた。この美人とは、4年越しのつき合いである。しばしば躁状態とうつ状態を繰り返した。発病のきっかけは、悪い男に引っかかり、さんざん、弄ばれた結果、自殺を企てたのである。――本文32ページより抜粋