’95年度芸術選奨文部大臣賞受賞 寂聴が歩む。西行につづく白道を。西行と同じく俗世の営みを経て出離の道を選んだ著者にして、初めてとらえ得る西行の全宇宙。 寂聴の西行はさすがに仏道に全身漬かっている人が書いた西行である。最初は西行を書くことが大切だったのだろうが、最後には西行のなかに自分が溶けこんで消えていくことこそが大切になったのだと僕には感じられた。──川西政明(読売新聞書評)