最高におもしろい現代版シンドバッドの物語
現代アメリカから中世バグダッドへ漂着した主人公。荷担ぎシンドバッドと六夜にわたる宴会の席で、お互いの六つの航海譚を競い合う。超一級のメタフィクション。
ジョン・バースから『船乗りサムボディ最後の船旅』のゲラをもらったのは5年前だった。家に持ち帰り、およそ1週間、一心不乱に読み続けた。忘れることのできぬ至福の読書の時間だった。そして、ぼくは確信したのだ。これは、遥か遠くまで行ってしまった現代文学そのものが、後ろのぼくたちを振り返りながら歌ってくれた、あまりにも優雅で、あまりにも哀しみに充ちた白鳥の歌であると。ミスター・バース、この作品をありがとう!――高橋源一郎
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