創造力あふれる色彩感覚と構成力。若き天才が誕生!!
和田誠氏が驚嘆!!
「岩下哲士君の絵を見た時に、ぼくはすっかり彼の絵のファンになっていた。一群の絵のもつ、力強さ、大胆さが、圧倒的な迫力で目にとびこんできた。しかし、パワーだけならこれほどまでに見る者の心を捉えることはないだろう。彼の絵には力強さと同じ度合で優しさがあった。繊細さがあった。大胆な色彩と優しい色調が隣り合わせているし、繊細な線が力強い画面を構成していた。」――(本文125ページより抜粋)
生まれたとき、お医者さまから「6ヶ月ももたないだろう」と言われていた哲士が、20歳になりました。この20年間、いろいろなことがありました。いろいろな人との出会いがありました。私たち親にとりまして、長いようで短いような、無我夢中で駆け抜けてきた年月のように思われます。(中略)
1歳と3ヶ月のときに突然激しいけいれんと40度近い高熱に襲われ、救急車による収容先の市立池田病院で、急性小児片マヒと診断されました。坂野元則先生の懸命の治療でなんとか命は取りとめましたが、以後、その後遺症で頭から足まで左半分にマヒが残ることになりました。(中略)「よくここまで回復したものだ。こんなになるとは思ってもいなかった」
坂野先生はいまでもよくそうおっしゃられて涙ぐまれます。それは私たちも同じです。“植物人間”になるかもしれない、あるいは一生、言葉を話せなくなるかもしれないと言われていたのですから……。――本文51ページより抜粋
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