岩波ホール名画、感動コレクションPart1(1974年~1984年)
サタジット・レイ監督「大樹のうた」を皮切りに、ルキノ・ヴィスコンティ監督「家族の肖像」、アンジェイ・ワイダ監督の「大理石の男」など、世界の埋もれた映画を次々と上映したエキプ前半10年の名作の数々を紹介。
私が「家族の肖像」をはじめて見たのは1975年の8月、パリのオデオン座近くにある50席ほどの小さな映画館であった。席に着いたとき、私にはルキノ・ヴィスコンティが1974年に製作した映画という以外、なんの予備知識もなかった。だが見ているうちに、この重厚な作品に魅了されてしまった。
私はこの作品を、どうしても日本に紹介したいと考えた。そして帰国後、映画興行関係者に意見を求めたところ、それがなんと全部否定的なのである。
「家族の肖像」はエキプ発足5周年を記念して、1979年の正月に上映され、10週間満員の盛況が続いた。
その間に芸術祭大賞、キネマ旬報ベストテン第1位に選出されたりしたので、評判が評判を呼び、後半はよほど早くから並ばないと入場できなくなった。――(本文54・55ページより抜粋)
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