時代に共鳴する
荒漠たる秋の野に立つ。星は月の御座を囲み月は清らかに地の花を輝らす。――と書き出される「霊的本能主義」。18歳、一高校友会雑誌に発表されたこの論考に始まり、『古寺巡礼』と同時期に刊行されながら著者自らによって封印された『偶像再興』、芸術への深い造詣を示す名随筆『面とペルソナ』に至る知の巨人の感性溢れる文章世界を厳選して再読する。
和辻哲郎
予はただ「古きものの復活」を目ざしているのではない。古きものもよみがえらされた時には古い殻をぬいで新しい生命に輝いている。そこにはもはや時間の制約はない。それは永遠に若く永遠に新しい。予の目ざすのはかくのごとき永遠に現在なる生命の顕揚である。――<本文より>
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