高橋 お伝 妲妃の お百 花井 お梅
稀代の悪女にして聖女
不治の病に苦しむ夫の薬代のため殺人を犯す高橋お伝、愛しい男を追い、罪人となって流刑地に赴く妲妃のお百、男の裏切りに死で報いた新橋芸者、花井お梅――。江都を賑せ伝説となった稀代の悪女・毒婦たちを、プロレタリア作家として壮絶な境涯を追いつづけた著者が視点をかえ、純粋な愛をつらぬき時代に翻弄された悲劇の主人公として、その生と性を描ききった意欲作3篇。
河野多惠子
たい子における<体あたりで人生の波瀾を見て行こうとする私の心>の願望は、人間についての新しい発見――人間に対する認識への願望の更新である。(中略)男女というものについての彼女の発見願望も一方ならぬものがあった。彼女はその種の発見を作品にも沢山書いている。そうして、平たく言えば、他人の結婚生活や恋愛や情事に対する好奇心も旺盛で、見る眼も鋭いものだった。――<「解説」より>
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