離婚を戦いとり、1人息子と妹を抱えた生活は窮迫するが、嫩(ふたば)は書くことに生きる光明を見出していく。そんな折り、かつて幼い嫩を捨てて駆け落ちした母を捜して引きとった。こんどは母のわがままと気紛れに翻弄され、執筆時間を奪われる日々が始まる――。 凄絶な苦闘の半生を毅然と描き切った自伝的長篇3部作「蕁麻の家」「閉ざされた庭」につづく完結篇である。