1912年山梨県に生まれた檀一雄は東大在学中から佐藤春夫に師事し、37年短篇集『花筐』を刊行した。戦後は『リツ子・その愛』『リツ子・その死』で文壇に確固たる地位を築き、76年1月、代表作『火宅の人』を残して死去。本書は数多くのエッセイから文学的交遊録と紀行文を中心に31篇を選んで5部構成にした、檀一雄の豊饒な資質をうかがい知るに足る新編エッセイ集。