“私”は1930年、2度目のパリで、日本学生会館、通称メーゾン・タジマに宿泊し、設立者・但馬太郎治の名を知る。戦後、再三の奇縁から、当時、若く快男子で、日本人としてケタ違いの栄華を生きた彼の過去と現在に興味を感じる。レジオン・ドヌール勲章を胸に、パリ社交界で巨額の富を蕩尽した国際的大パトロン薩摩治郎八をモデルに真の教養人の比類なき生涯をエスプリ豊かに描く長篇小説。