1年生から一人で読める童話シリーズ、「どうわがいっぱい」の新作です。
夕方の公園で出会った、似顔絵描きののっぺらぼうのおじさん。
「ぼく」は最初逃げようとしますが、勇気を出して、おじさんの顔を描いてあげることに。
ちょっとこわいけれど、心あたたまるお話です。
書籍・雑誌・広告で活躍中のイラストレーター、タムラフキコ氏の、雰囲気のある絵がぴったり合っています。
●あらすじ
ある夕方。友だちの家から帰る途中、ぼくは公園で額縁を売っている露天を見つけた。
「あなたの にがおえ かきます 50えん」
と書いてある。
安いので描いてもらうことにしたけど、おじさんはずっと下をむいたまま、顔も見ずに描くので、似顔絵はぼくにぜんぜん似ていない。
「おじさん、へたくそー。下ばかり見てないで、ぼくをよく見てかいてよ。」
すると、おじさんは、
「そんなにいうなら、ぼうず、おまえがかいてみな。がようしじゃなくて、わしのかおにちょくせつかいてくれないか。」
と言って、顔をあげた……!
ぼくは全力で逃げようとしたけど、
「やっぱり、こわいのかー。」
というおじさんの声に、立ち止まった。
ぼくは、よわむしじゃない! それに、こののっぺらぼうのおじさんは、そんなにわるい人じゃない気がする。
ぼくは、ゆうきを出して引き返し、絵筆をとって、おじさんの顔を描きはじめた--。
※1年生漢字のみ使用。ルビつき
+ もっとみる