人生の思索を記した独歩の日記「欺かざるの記」から、佐々城信子との恋愛、結婚、離婚を経て、26歳で処女作「源叔父」を完成する迄の、日記の後半を全文収録。愛する女性を得た無上の喜びと煩悶、妻の家出、別離へ至る浪漫的恋愛と、明治人の近代的自我の内面が刻明に綴られ、時代の制約の中を強く生きる女性の行動の軌跡が知られる。名作「武蔵野」を発表する以前の、若い日々の著者の精神史。