幼時にキリスト教を信仰し、のちダダイストとして登場、自由を求めて絶望を知り、伊藤野枝と結婚し数年で離婚、尺八を吹き各地を流浪の末、巷間に窮死した辻潤(1884-1944)。後年大杉栄の元に行った野枝との回想「ふもれすく」を始め、著作集「浮浪漫語」「ですぺら」「絶望の書」等と未収録エッセイより、小説「三ちゃん」を含む25篇で構成。詩人の魂を持つこの無類の思想家の現代的魅力を伝える。