武士道精神、サムライの倫理を多分に持って生きた中山義秀は、兵隊としても卑怯なことをせず正義に殉ずる主人公を設定し、父親としては自分の娘たちに対しても頑固一徹な、しかし本当は愛情あふるる父親を描き、歴史小説においては登場人物の苦悩する精神の内面よりも、人事に任せしかし人事を越える剛毅、爽快を好んだ。現代には稀になったある意味での良き日本人像を描く短編7篇を収録。