小説、評論、翻訳と明治文壇にあって幅広く活躍した魯庵は、終生社会的関心を失わず、特に旺盛な好奇心は、随筆においてその面白さを発揮した。本書は魯庵の日記の明治27年から44年までの抜き書きであり、コラージュ的に新聞記事をそのまま貼りつけたり、実物大の名刺があったり、当時の生活風俗万般がそのまま記載され、いまでいう文化人類学的厚みをもった日記となっている。