海尊と名乗る法師が村々を懺悔し流浪するという東北の貴人伝説を背景に、学童疎開し孤児となった啓太の罪の生涯を描く田村俊子賞、芸術祭賞受賞「常陸坊海尊」、和泉式部に纒る伝説を題材に、九州の炭坑事故で冒された豊市、その母と嫁に、式部の後裔という魔性の尼僧を絡め社会の底辺に生きる人々の深い哀しみを描く毎日芸術賞受賞「かさぶた式部考」、方言を駆使し民衆の苦悩に迫る戯曲2篇。