芸妓村上八重と著者との30年にも及ぶ恋愛を題材に小説家牧と芸者三重次とが互いの人生の浮き沈みを越えて真摯な心を通わせ合った長い歳月の愛を独得の語りくちで描いた戦後の代表作・読売文学賞受賞「思い川」、なじみの質屋の蔵の中で質種の着物の虫干しをしながら着物に纏わる女たちの思い出に耽る男の話・出世作「蔵の中」、他に「枯木のある風景」の3篇を収録。