三島由紀夫が、《私は、堀口氏の創った日本語の芸術作品としての『ドルジェル伯の舞踏会』に、完全にイカれていた。それは正に少年時代の私の聖書であった》と書いたように、「ドルジェル伯爵夫人の心のような心の動き方は、果して、時代おくれだろうか?」で始まるこの作品は、日本の近代の翻訳小説の中で不滅の光芒を放っている。