明治28年、露伴が大作『風流微塵蔵』で注目をあび、硯友社系の柳浪、鏡花達の活躍の中で一際輝いた一葉は、29年、絶賛を博しながら24歳の生涯を閉じた。紅葉の『金色夜叉』が読者を熱狂させていた明治30年、藤村が抒情詩集『若菜集』を刊行、独歩は「源叔父」を発表。紅葉、露伴の活動華々しき文壇に、文学史を画する清新な作品が、若い文学青年達によって登場しはじめた。