起きてしまった知人の配偶者との「関係」の事実を、男は謝罪し弁明するほどに、ますます窮地に陥ってゆく。露呈する主人公の心の「やましさ」を、作家の眼が凝視する。救いを願う個我の微妙な感情と心理を描いた、意欲的長篇。夏目漱石、志賀直哉らと日本の近代小説が探求し続けてきた、人間の「倫理とエゴ」の重く切実な主題を共有する、『幕が下りてから』に続く著者中期の代表作。
藤枝静男随筆集
藤枝 静男
朗らかに笑え ユーモア小説のパイオニア 佐々木邦とその時代
松井 和男
息のかたち
いしい しんじ
歴史について
木下 順二
二つの東京物語
東 秀紀
森の宿
阿川 弘之
万年筆バイブル
伊東 道風
バリ山行
松永K三蔵
トラディション
鈴木 涼美
うつせみ
紗倉 まな
幻日/木山の話
沼田 真佑
彼女たちのバックヤード
森埜 こみち