仮装舞踏会で被せられたサンタクロスの仮面の髯がマッチを摺るとめらめら燃えあがる、象徴的な小説の冒頭。妻を亡くした、著者を思わせる初老の作家稲村庸三は、“自己陶酔に似た”多情な気質の女、梢葉子の出現に心惹かれ、そして執拗な情痴の世界へとのめり込んでゆく。冷やかに己れのその愛欲体験を凝視する“別の自分”の眼。私小説の極致を示した昭和の名作。第1回菊池寛賞。
一人と千三百人/二人の中尉 平沢計七先駆作品集
平沢 計七,大和田 茂
昔話
吉田 健一
芭蕉入門
幸田 露伴
狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集
藤澤 清造,西村 賢太
蒲生氏郷 武田信玄 今川義元
小僧の神様・一房の葡萄
志賀 直哉,武者小路 実篤,有島 武郎,太田 大八
夜更けの川に落葉は流れて
西村 賢太
羅針盤は壊れても
恋ごころ 里見トン短篇集
里見 トン
数奇伝
田岡 嶺雲
尾崎喜八詩文集1:空と樹木
尾崎 喜八
白鳥評論
正宗 白鳥,坪内 祐三