港町を舞台に少年の成長を描き出す。 喧嘩、煙草、性の目覚め、家族の秘密。少年の動揺を潮の香に織り込んだ傑作。 港町で網元のせがれとして暮らす洋次は、船子たちとの荒っぽいやりとりを通して、大人の男の生き方を垣間見る。上級生からのリンチ、ケンカ、タバコ、性へのあこがれ、家族がそれぞれに抱える秘密を前に少年・洋次の心は揺れ、試練として重くのしかかってくるのだった……。著書渾身の力を込めた傑作短篇集。