死んでしまった教え子槙山の孤独に見えた人生に苑子という女性がいた。四高、東北大学時代の奇行学生をよやうく理解した恩師吉松は、槙山の7回忌で同級生たちから新たな槙山像を知る。戦中戦後を流されないで生きた1人の男の生涯を、絶妙の筆致で描き切った名作長篇。第1回柴田錬三郎賞受賞作品。