明治11年、2ヵ月かけての13000キロのシベリア横断の旅。幕臣・明治高官として活躍した榎本武揚の綴った日記は貴重な資料である。実地の踏査、綿密な観察、古馬車に揺られながらの克明な記述、19世紀末のシベリアの実情がつぶさに紹介される。本日記に関連する書簡3通と、幕府留学生としてオランダへ向かう船中で綴った「渡蘭日記」も付す。(講談社学術文庫)
実地の踏査、綿密な観察 明治11年のシベリアの実情を綴る明治高官の隠れた日記
明治11年、2ヵ月かけての13000キロのシベリア横断の旅。幕臣・明治高官として活躍した榎本武揚の綴った日記は貴重な資料である。実地の踏査、綿密な観察、古馬車に揺られながらの克明な記述、19世紀末のシベリアの実情がつぶさに紹介される。本日記に関連する書簡3通と、幕府留学生としてオランダへ向かう船中で綴った「渡蘭日記」も付す。
(榎本武揚の)生涯は、終始波瀾に富み、また一方ならぬ辛酸を嘗めたことは、彼がいかに国家に尽くすところが大であり、かつその活躍がいかに常人の追従を許さぬものであったかを物語っている。ここに収録せる「西比利亜日記」と「渡蘭日記」の2篇は、日本海軍の黎明期であると共に、夜明け前の日本の姿を記録せるまことに貴重な文献である。しかも忠実な記録の行間に溢るる先駆者の熱情は、涙ぐましいものがあり、武揚榎本の真骨頂を窺うに足る好個の資料でもある。――<本書「両日記の解説」より>
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