美への欲望と世相と服飾
パリファッション 1000年の歩み
女性のお洒落への憧れはいつの時代も変わらない。パリはガリアの時代からファッションのメッカであった。すけすけのドレス、雲を衝く角飾り、釣鐘状のスカート。突飛な風体や豪奢な装いで流行の先端を闊歩する女たち。聖職者の譴責も国王の禁止令も無視し、贅を尽くす。美へのあくなき欲望と時代の世相が織りなす服飾の歴史、パリの貴婦人たちのエレガンス、千年の軌跡を追う。
すでにパリは、ヨーロッパにおけるモードのメッカであり、モードのトレンドを牛耳っていたのである。当然のことながら、情報の発信源であるパリやこれにつづくブルゴーニュの宮廷には、豪華さを競う美女が犇き合っていた。発掘された勘定書に添付された明細からも、彼女らがいかに莫大な金をお洒落のためにつぎこんでいたかがよく分かる。年代記作者らによれば、その蕩尽ぶりには、当時の人びとも目を回したという。――<本書「序文」より>
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