判官びいき、美貌の若武者像、弁慶物語、雪の吉野山―― 悲劇の武将は庶民によって英雄となった 源平争乱期、歴史の表舞台に彗星の如く現れ、消えていった源義経。その悲劇の生涯を悼む民衆によって彼は英雄へと昇華した。美貌の若武者、天才軍略家、弁慶物語、雪の吉野山と北国落ち――。本書は、日本人に最も愛された悲運の名将の実像を描き、文芸と歴史の間にたゆたう義経伝承の発生とそれを保持した社会的背景を解明する、異色の論考である。