「親衛隊兵士よ、忠誠こそ汝の名誉」理想も思想もなく、ただ総統への忠誠にのみ支えられた集団
ナチス・陰の帝国の全貌
黒い制服を身にまとい、第3帝国の警察権と謀報機関を掌握し、欧州を恐怖におとしいれたナチス親衛隊。膨大な、収集情報・記録文書や出版物、当事者の証言をジャーナリスティックな視点で読みとき、結社の内情を冷徹に分析する著者の筆は冴えわたり、今なお我々を呪縛する〈SS神話〉を解体していく。ナチス研究史に大きな足跡を残す名著、待望の文庫化。
SSの世界は異様で不合理で、あらゆる論理からへだたっていた。しかし、その世界に与えられたもろもろの解釈もまた、皮相の論理性とは裏腹に異様だったといわねばならない。歴史の示すSSの実体は、悪魔的な計画性とは反対の偶然性と自律性で運営された組織であった。SSの歴史は理想主義者と犯罪者、権力渇望者とロマンチストの歴史であった。またそれは、とても夢物語とは思えない1つの「結社の歴史」であった。――本書「第1章」より
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