軟体動物のようにおいしくて仕方がない人、私にとってベルクソンとはそのような存在にほかならない。だが不幸なことに、この軟体動物、ベルクソンのテクストの中では進化の袋小路に入り込んだものとして、いわば出来そこない扱いされている。本書は、この軟体動物が袋小路から出て、思想や芸術の世界をさまよってみせた漂流譚のようなものである──現代の思想・芸術世界への豊かで大胆な思索の試み。