感性や美の世界における「時間」の役割とは何か?本書は、いわゆる空間芸術たる造形芸術を議論の中心的トポスとした。第1部は、形象を支える物質性に及ぼされる時間の作用として、負の時間、骨董、廃墟等をとりあげ、第2部は、形象があらわす時間の諸相として、記号の時間、馬のエクリチュール等について考察する。形象の〈崩壊〉と〈変容〉を中心に、美的時間についての新たな視点を探る好著。