折にふれ虚子側近の著者が記録した貴重な俳話集。さりげないことばの中に師の面影をほうふつさせ、虚子俳句の真髄をとらえて見せた。虚子自身をして面白いと感嘆させた名著。「佳句は一生に一句あれば沢山です」「死後100年の名を楽しまんよりは、寧ろ生前一日を楽しむに如かず」「長くなるのは、結局分かっていないからです」など、琴線にふれる珠玉の名言が随処にちりばめられている。俳句を通して人間虚子を知る好個の書である。