「ないもの」を思い浮かべる不思議な能力、想像力。日常生活から芸術まで、つねに「新しさ」を生みつづけるメカニズムは何か? ことばとの複雑な関係を解明しつつ、誰にも備わるこの能力を、存分に発揮させる方法を考える。
誰もがもつ創造の泉――想像力は芸術活動と関連づけられることが多い。また、天賦の才を与えられた人が行う創造とからめて想像力を議論することも多かった。しかし、私は、想像力は、ごく普通の人間の日々の営みや活動の過程で活発に働いているものだと考えている。…… 日々の営みや活動の中で、つねに人は「もの」や「こと」に働きかけ、それらを変形し、新しい形を創り出している。その結果をもたられる所産は、その時点でのさまざまな条件のもとに成立したもので、それはさらに人々の働きかけによって受け継がれ、また変容を遂げていく。想像力はそのような人々の営みに深く関わり、修正や変容をもたらし、新しいものを創り出す触発剤として働いているのである。――本書より
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