秤屋の小僧、仙吉のひそかな願いをかなえてくれたのは、見ず知らずの1人の客だった――。小僧と客との心理をあざやかに浮きぼりにした表題作のほか、『或る朝』『清兵衛と瓢箪』『網走まで』『城の崎にて』など、計14編を収録。対象をとらえる鋭い目と簡潔な文で、のちの文学史に大きな影響を与えた志賀直哉の短編集。