雪の出会いにはじまる夢想の都・フィレンツェは、ルネッサンス発祥の地として、自由と想像力に満ちた永遠の純真さを孕みながらも、富豪たちの造り出した人工美との不均衡の中にあった。新たな自分にめぐり合うべく、ヨーロッパ美術史の光と闇に旅する詩人・松永伍一の凝視と夢想の世界を、書簡文に託して描く書き下ろし。