健康な人は、「健康とは」と問われても返答に窮する。だが、一旦健康を失った人は、失われた健康というものが痛切に意識できる。病める人間像を識ることは、これと似た意味をもつという。――長年、統合失調症に接し、それを人格の病として捉えた著者が、創造の病理や自殺に至る病など、多くの例を上げ、さらに人間の変容を迫る現代社会の症候群を引き、「人間とは何か」を独特の風合に織り上げた名著である。
現代の病理的症候を描く精神医学者の文明論現代社会の人間像の変貌を、現代の病める人間像―人格の深みから孤立化していく人間像を描き、もう一度健康で自然な人間を捉え直そうとした一冊。
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