歴史家は無為である、また為さざることなし――容易にみえて容易ならざる覚悟と執念で、司馬遷が記録した大著『史記』。司馬遷の歴史家としてのきびしい態度と、そこに描かれた世界の中心たる政治的人間たちを著者は浮き彫りにする。そして歴史と人間世界を空間的・全体的に把握しようと試みた古典的名箸。