誠実な院主として、檀家に好感を持たれている曜(よう)は、二人の年上の未亡人と関係を続ける一方、拒絶された年下の未亡人に対する想いを断ち切れずにいる。そんなとき、曜は親鸞のいう「宿業」を考える。愛欲と闘った親鸞の苦悩があるか。親鸞の教える生き方をしているか。情欲に溺れる己の非力を痛感し、それを超えようとする青年僧の煩悶を描く、長篇大作。