男の女遍歴を、浮気などといって非難するのは大間違い。そういう気持の強い男こそ、女陰回帰の志、母のもとへも戻りたいという、いわば母を求めて三千里、真実鈴ふり巡礼心の持主なのだ。――山陰は皆生温泉、風呂番の老人が人生哲学を語った「色即回帰」ほか、野坂文学の真骨頂を発揮した作品7編を収録。 老若男女を問わず、我と我が身を忘れ、色に狂う人の世のあさましさ。ああ、この哀しき煩悩――。山陰は皆生温泉、風呂番の老人が人生哲学を語る表題作「色即回帰」ほか、「色指南」「色法師」など七編を収録。