貝がもだえるような感覚につつまれ、小さなふるえに身をゆだねながら、男の体は次第にたかまってゆく。処女かどうかの自覚さえもない程度の性知識しかない女子大生の圭子……自分の娘のような年齢の彼女に、女関係の豊富な小沼は、新鮮な興奮をおぼえた。骨細でふっくらとした肉体の内部に秘められた微細な構造、その並々ならぬ素晴らしさが、小沼をとらえて離さない。連続十三夜にわたる、若い娘と初老の男の肉体のドラマを通して、次第に開花して行く女の性のかたちを鮮麗に描いた傑作「十三夜」のほか、「いつしか連夜」「白粉の気配」など、官能傑作小説全5篇を収録した異色の短篇小説集。
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