女性研究家の肩書きを持つ青池妙五は、熱心な実践的女性探求家である。中年男の彼には、20代半ばの後妻と、中学2年になる男の子がいる。しかし彼は、パトロンを持つ夫人をはじめ、スナックのマダム、女子大生、デパート・ガール、バーのホステスなどと、次々と関係を深めていく。好色であり、才能があり、上質の肉体的構造を持っている理想的女性を求めて遍歴する青池妙五の身に、やがて意想外の事件がのしかかる……。「誘惑」に人生の悦楽を、「情事」に人間の実存を賭ける男の、超人的な女性遍歴を、川上宗薫一流の筆致で描いた異色の長編小説。
+ もっとみる