時に1950年、占領軍統治下の東京――。職務にて台東区千束を訪れた警察吏員・伊瀬顕嗣は、いつの間にかタイム・リープし、1650年の江戸吉原に足を踏み入れていた……。徳川家光治世下の吉原で追われる顕嗣は、すんでのところで美しき遊女・白笛に救われる。しかし、窮地を脱して昭和に戻った顕嗣が知ったのは「白笛が、顕嗣と出会ったわずか数ヶ月後、吉原からの足抜けに失敗し、命を落とす」という残酷な歴史だった。再びタイム・リープを試みた顕嗣の前に、江戸吉原での拳銃殺人事件が立ちはだかる。歴史を改変し、白笛を救うことはできるのか? そして、顕嗣はなぜタイム・リープに巻き込まれたのか……。戦後東京と江戸吉原――300年を往還して綴られる、哀切な恋物語。
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