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反ユダヤ主義

19世紀末、遅れてきた自由主義と多民族国家の都、ウィーン。西欧社会への同化を望み、巨万の富を蓄えて急激に擡頭したユダヤ人に、排斥の矛先が集中した。同化人を敵視するドイツ民族主義、ユダヤ人を除外した社会主義運動、カトリックやプロテスタントとの宗教問題、同化系と東方系にわかれたユダヤ人同士の相克……。政治・民族・宗教、すべての問題は、なぜ「反ユダヤ主義」を軸に展開されたのか。複雑な彩りをみせた世紀末ウィーンの政治と文化に新たな光をあてた力作。

【目次】
プロローグ
第一章 ユダヤ人の擡頭
1 自由主義の誕生
2 同化するユダヤ人
3 リンク通り
4 陽気な黙示録
5 富の不平等
第二章 反ユダヤ主義勢力
1 民族主義の高まり
2 ドイツ民族派とナチ
3 ヒトラーの二人の師
4 神を殺した民
5 魔法の触媒
第三章 人種論への萌芽
1 社会主義とシオニズム
2 社会民主党の矛盾
3 シオニズム運動の起源
4 ユダヤ人国家構想
第四章 世紀末文化の彩り
1 文化基地としてのウィーン
2 創造者たちの街
第五章 脱信仰の科学者 フロイト
1 パラドックスな関係
2 精神分析学の反響
3 ユダヤ人フロイト
第六章 過渡期の音楽家 マーラー
1 遍歴時代
2 ウィーン宮廷歌劇場監督
3 やがてわたしの時代がくる
第七章 文化的アナーキスト クラウス
1 唯一無二の存在
2 知的テロリスト
3 腐敗していたのはだれか
参考文献
年表
あとがき
索引