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大友落月記

弘治2年(1556年)、九州の大国・大友家は6年前の「二階崩れの変」を経て、新当主・義鎮(後の宗麟)のもとで安寧を掴みかけていた。だが他方で、重臣の田原宗亀が実権を握り、最高実力者として当主をも凌ぐ勢いを示してもいた。その宗亀を支持する宗亀派と、義鎮を中心に近習衆からなる義鎮派の反目が新たに発生する。また、大友宗家の縁戚に連なる同紋衆と外様的存在の他紋衆の根深い対立も残されたままだった。そんな折、義鎮派で近習頭の田原民部が、戸次鑑連(後の立花道雪)と並び称される肥後の有力武将・小原鑑元を利用して義鎮派の勢力伸長を図ろうとする。反宗亀の兵を挙げさせ、他紋衆の多くを味方に引き入れようという狙いだった。義鎮派で民部の右腕・吉弘賀兵衛はその策略を成功させるために、軍目付として肥後に赴任するが、しばらくして大友の国都・府内から思わぬ内容の書状が届き……。

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