「富士山噴火と南海トラフ」既刊・関連作品一覧
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2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、富士山の様相をも決定的に変えてしまった。
津波や原発事故に人々の目が奪われているなか、ある重大な異変が富士山で生じた可能性に、
火山学者たちはひそかに青ざめた。
いまや富士山は、いつ噴火してもおかしくない「スタンバイ態勢」に入ってしまったのだ。
しかも「そのとき」は、やがて起こる南海トラフ巨大地震の直後に来るおそれがある。
富士山が最後に噴火した1707年の「宝永の大噴火」では、そのわずか49日前に、
南海トラフ巨大地震(宝永地震)が起きていたのだ。
実は富士山と南海トラフには、地球科学的にみて密接な関係がある。
富士山の美しさも、恐ろしさも、南海トラフがつくっていると言っても過言ではないのだ。
2030年代の発生が予想される次の南海トラフ巨大地震に「令和の大噴火」が連動すれば、
西日本が壊滅的な打撃を受けた直後に首都圏の機能が停止し、国家的な危機に陥るおそれがある。
私たちはこれにどう備えればよいのか?
『富士山噴火』(2007年)を著した火山学の第一人者が、2011年以降の富士山の大変動を大幅加筆、
巨大地震と巨大噴火の国でいかに生きるかについて、渾身の提言!
【本書の構成】
第1部 富士山噴火で起こること
第1章 火山灰 都市を麻痺させるガラスのかけら
第2章 溶岩流 断ち切られる日本の大動脈
第3章 噴石と火山弾 登山者を突然襲う重爆撃
第4章 火砕流と火砕サージ 山麓を焼き尽くす高速の熱雲
第5章 泥流 数十年間も続く氾濫と破壊
第2部 南海トラフと富士山噴火
第6章 地理と歴史からみた富士山噴火
第7章 「3・11」は日本列島をどう変えたか
第8章 南海トラフ巨大地震との連動はあるか
第9章 山体崩壊のおそるべきリスク
第10章 富士山の噴火予知はどこまで可能か
第11章 活火山の大いなる「恵み」
【著者について】
鎌田浩毅(かまた・ひろき)1955年生まれ。東京大学理学部地学科卒業。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。日本火山学会理事、日本地質学会火山部会長等を歴任。京大の講義は毎年数百人を集める人気で教養科目1位の評価。科学啓発に熱心な「科学の伝道師」としても活躍。