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近江商人の哲学  「たねや」に学ぶ商いの基本

和菓子業界が縮小する中で、なぜたねやグループは右肩上がりの成長を続けるのか。成功の裏には、「三方よし」「先義後利」に象徴される近江商人の商売道を現代に昇華させた著者・山本昌仁(たねやグループCEO)の哲学がある。自分たちの利益より、まずはお客様が喜ぶことを考える。お客様以外の人々の利益も考える。生まれ育った地域に還元する。たねやの成功は、今後の商売、特に地方での商売繁盛のためのヒントとなるはずだ。


和菓子業界が縮小する中で、なぜたねやグループは右肩上がりの商売繁盛を続けるのか。

成功の裏には、「三方よし」「先義後利」に象徴される近江商人の商売道を現代に昇華させた著者・山本昌仁(たねやグループCEO)の哲学がある。

たねやのフラッグシップ店にして本社機能もある「ラコリーナ近江八幡」は、ショッピングモールのように快適に整備されているわけでもなく、派手なアトラクションもない。甲子園球場三つ分の敷地には、田んぼがあり、あえて地元の雑草を植えるなど自然の空き地のまま。50年後、100年後に近江八幡を人が集まる場所にして、地元に恩返しするために、目先の利益を追わなかった。融資を受ける際、「なんで菓子屋が田んぼをやる必要があるんや」と反対されても、押し切った。

結果、「ラコリーナ」は今、年間300万人近くが訪れる。最中や饅頭が飛ぶように売れ、焼きたて、切りたてのバームクーヘン売り場には長蛇の列ができている。
自分たちの利益より、まずはお客様が喜ぶことを考える。お客様以外の人々の利益も考える。生まれ育った地域に還元する。本社は地元から動かさない。
実は著者は会社の売上にはほとんど興味がない。「数字はあとからついてくる」

本人は意識していないのに、たねやが「現代の近江商人」と呼ばれる所以である。

近江商人がふたたび今注目されているのは、「企業の社会的責任」との関連だろう。社会や地域に貢献する、環境を保護する、持続可能な発展のあり方を考える……。

たねやの製造販売の考え方は、今後の商売、特に地方での商売繁盛のためのヒントがいっぱいです。