「国際紛争を読み解く五つの視座」既刊・関連作品一覧
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本書の第一章では、国際秩序への挑戦として紛争をとらえることを論じた。第二章は、東アジアの現状を勢力均衡の理論的視座を用いて分析。第三章は地政学の観点から欧州に焦点をあてた。第四章は中東情勢と文明の衝突という考えかたをぶつけ、第五章は格差社会としての国際社会の問題として、アフリカを世界システム論などを手がかりに論じた。第六章はアメリカの対外的な軍事行動の背景に、「成長信仰」の観点から迫った。
本書は、現代国際社会の全体動向のなかで紛争を理解していくために、いくつかの代表的な理論を題材として取り上げながら、構造的に武力紛争の背景を探ることを試みた。
第一章では、まず現代国際社会の秩序の特徴を見たうえで、国際秩序への挑戦として紛争をとらえることを論じた。第二章は、東アジアに焦点をあて、勢力均衡の理論的視座を用いながら、紛争構造を分析することを試みた。第三章は、ヨーロッパに焦点をあて、地政学の理論的視座を用いた分析を試みた。第四章は、中東情勢を論じるにあたって、文明の衝突という考えかたを参照してみる作業をおこなった。第五章は、アフリカを格差社会としての国際社会の問題としてとらえるために、世界システム論などを手がかりにすることを試みた。第六章は、アメリカによる対外的な軍事行動を、成長の限界を克服するための運動としてとらえることを試みた。
本書がこれらの試みをおこなったのは、日本においてとくに、紛争分析に問題関心が集まる機会があまりなく、とくに理論的な視座を駆使した分析の機会が少ないことを補うという意図をもってのことであった。
本書の議論だけでは不足があることは当然だ。しかし紛争分析とは、単に混沌とした情報を並べることではなく、ときには理論的視座も駆使しながら、目に見えない社会の動きの性格を把握していくことなのだということを、少しでも示唆することができたとすれば本書の執筆にはそれなりの意味があったということになるだろう。
(「むすびに」より)