「変身のためのオピウム」既刊・関連作品一覧

  • 電子あり
変身のためのオピウム

芥川賞作家のめくるめく奇妙な万華鏡世界。ギリシア神話の登場人物から22人の女性を選び一人一章をあてて描く連作集。芥川賞作家多和田氏ならではの想像力の限りを尽したタペストリーをお楽しみ下さい。


22人の女神たちのめくるめく陶酔と恍惚
物語のつづれ織り――
〈連作〉長編小説

ギリシア神話の登場人物から22人の女性を選び1人1章をあてて描く連作集。芥川賞作家多和田氏ならではの想像力の限りを尽くしたタペストリーをお楽しみ下さい。

「膣から頭髪の分け目まで、身体を貫いて、毎秒1本の管が伸びる。それは、解剖学者たちが色分けした内臓を押し込んだあの身体ではない。毎日、鏡に映るあの身体でもない。毎月、生命保険会社が売りつけにくるあの身体でもない。それにしても、たくさんの身体が次々配達されてくるものだ。いったい、いくつ身体を引き受けろと言うのだろう。中には、未登録の身体もある。たとえエロスに満たされていても、性行為には不便な身体もある。そういう身体は法に反しているのかもしれないが、目に見えないので罰せられることもない」(本文より)